『半分の月がのぼる空』の舞台は病院ですよね。 今回は病院について書きます。
小説に出てくる病院の名前は『市立若林病院』ですね。 この病院については橋本紡さんは以下のように述べています。
「裕一と里香が入院している病院は実在の病院をモデルにしているものの、それは伊勢から少し離れた場所にあります」 ( 橋本紡著・半分の月がのぼる空 1 巻 226p )
これは、病院そのもの ( 外観とか内部とか ) についての記述だと私は考えています。 『伊勢から少し離れた場所
』と書くくらいだから、モデルとなった病院はきっと伊勢市街やその近くには無いのでしょうね。
ちなみに、津市に若林病院という名前の病院は実在するみたいなんですが、行ったこと無いので私には何とも言えないです。
それでは、病院の立地としてはどうなのでしょうか。
小説中の記述では、「病院は町の高台にある」、「病院からは外宮が見え、その右に砲台山が見える」、「病院の西方、小高い山に高校がある」ことになっています。 「砲台山のモデル = 虎尾山」と確定しているので、この条件を満たす立地は「岡本」「勢田町」地区の向山か船江山あたりと言うことになるでしょうか。 この場合、商店街も図書館も高校も近くには無いと思われます。 いろいろと破綻するのですよ。
さて、ここで「砲台山の立地は三郷山である」とあえて定義してみましょうか。 こうすると、病院や病院の近くにあるポイントがある程度は無理なく存在できるようになります。 うーん。 ではその線で少し考えてみますかね。
まずはじめに「市立伊勢総合病院」を。
この病院は、名前としては「市立」で条件を満たします。 が、砲台山の立地を虎尾山・三郷山のどちらに設定しても、図書館・高校・商店街との位置関係を満たせません。 なので、脱落……でしょうか。
次に「山田赤十字病院」です。
この病院は、「三重県の南勢地区以南では心臓血管および呼吸器外科手術を行える唯一の施設
」なんだそうです。
立地としては概ね良いのですが、ここから外宮方向を眺めるとき、外宮の森 ( 含む高倉山 ) と、その西の三郷山山系が一体化して見えるでしょうね。 あと、山田高校の方角は南南西になってしまいますね。
商店街については、「しんみち商店街」の終わりからはずいぶん離れてます。
最後に「伊勢慶友病院」です。
上が病院を北から見上げた写真で、下が南の方から撮影したものです。
立地としてはこちらも概ね良く、山田高校は南西の方角に見えます。 高倉山・三郷山には大分近いので、はっきりと分離して見えるはずです。
商店街については、こちらも「商店街」の終わりからはやや離れています。 しかし、「たかやなぎ商店街」のアーケードからはすぐ近くなのはポイントでしょうか。
さてさて、ここで小説から他の記述を引用します。
「『うちはさ、あんたも知ってるだろうけど、K大学の系列なんだよ』」 ( 橋本紡著・半分の月がのぼる空 3 巻 81p )
亜希子さんの科白です。 「伊勢慶友病院」は昔慶応大学の系列病院だったそうなので、これは重要なポイントかと思われます。
「僕は市立図書館までの長い道程を踏破してきたのだった」 ( 橋本紡著・半分の月がのぼる空 1 巻 82p )
これもポイント。 「伊勢慶友病院」からだと、約 500m の道程。 そして「山田赤十字病院」からだと約 1,300m の道程だ。 「長い道程」に着目するならば「山田赤十字病院」なのかもしれない。 でも入院していて、抜け出すと怒られる患者にとっては、 500m の道も長いかもしれいないですよねえ。
「遠くに商店街のアーケードが見えている。潰れかかったデパートの青い看板も見える。その少し奥に神宮の森がこんもりと盛りあがっている」 ( 橋本紡著・半分の月がのぼる空 2 巻 139p )
これもポイントでしょうか。 青い看板のデパートとは「三交百貨店」ですよね。 現実には既に閉店してしまいましたが。 この三交を眺め、少し奥に外宮が有るという位置関係は、「山田赤十字病院」の方がやや適してますね。
で、「市立若林病院」が建っている場所はどこなのか。
総合的に判断すると……「伊勢慶友病院」と「山田赤十字病院」のどちらもアリなんですよね。 私は「伊勢慶友病院」を押したいとこなんですが、「山田赤十字病院」も否定は出来ない。
もう少し小説を読み込んで、考察する必要がありそうです。 あう。 すみません、オチつかなくて。
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□ 若葉病院のモデル - posted by †††††冴††††† at 2006/3/3 21:38:54
病院については諸説ありますね。
「実在の病院をモデルにしているものの、伊勢から少し離れた場所にある」と1巻のあとがきに書かれていましたね。
第一巻時点での物語内時間、西暦2000年時点で考えてみると、
K大学系列といえば慶応だけど、慶応病院は伊勢市内です。
日赤(山田赤十字病院を現地民はこう呼ぶ)は御薗村にあり「伊勢から少し離れた場所」の条件には合致。ただし、病棟の配置が小説とは違う。
伊勢病院は病棟の配置が小説に近いが、立地条件が違う。
個人的にはこの三つの病院のミックスだと思いますがいかがでしょうか?
□ 病院についての補足…かな? - posted by Weblog of pikopiko at 2006/3/7 20:30:14
「病院について考えてみた」のエントリに「星待月夜」のしぺらんさんからコメントを頂きました。 ありがとうございます。
んで、そのコメントを読んで、「ああ、自分の思考は固まってたなあ」とか思ったので、それを...
□ 町の高台にある病院といえば - posted by SUKUN at 2006/9/6 23:29:02
伊勢から少し離れた場所にある、町の高台にあるといえば「県立志摩病院」は伊勢から少し離れた志摩市鵜方の高台にあります。高台のみ一致かと。
山田赤十字病院、市立伊勢総合病院、県立志摩病院は系列としては三重大系列かと思います。
『半分の月がのぼる空』には、カメラが出てくる。 『ニコン製の一眼レフ
』だ。 1 巻で裕一の父親をイメージさせる小道具として登場したそれは、3 巻からはがらりとその性格を変え、最終的には裕一と里香の日常を支えるポジションに収まっている。
6 巻で裕一は、自分で現像までしているね。 あぁ、酢酸の匂いがよみがえってきた…。 き、気持ち悪い……。(ww
さて、ではその 3 巻の記述から。
「一眼レフだからレンズはいいものだけど、なにしろ古いのでオートフォーカスなんてついていない」 ( 橋本紡著・半分の月がのぼる空 3 巻 92p )
「もちろん自動露出補正機能もなかった。」 ( 同 )
カメラ好きとしては、やはり機種が気になる。 この次のページで裕一が値段を言っているが、そこからニコンの F ヒト桁かと、想像した。 F か F2 かと。
「『この数字はなに? 』『そ、それはシャッタースピード』~『じゃあ、こっちの数字は? 』『フィルムの感度……だったかな……たぶん……』」 ( 橋本紡著・半分の月がのぼる空 3 巻 108p )
おや、ASA を設定できるのか。 ならば、フォトミックファインダーが装着されているのだな。 ふむ。
この先のページで、裕一は蓋の開け方が分からず苦労し、里香の助けで開ける。 その部分の記述にはちょっとした疑問があるのだが、それは飛ばして蓋という部分にだけ着目しようか。
「『ねえ、これじゃない 』 パカ、と蓋が開いた」 ( 橋本紡著・半分の月がのぼる空 3 巻 109p )
これでなんとなく想像がついた。 F2 だな。 F だとパカって感じじゃないと思うから。
そして、その先ずっと読み進めても「ガチャガチャ」の話は出てこない。 裕一は蓋の開け方を知らなかったのだから、父親に教えてもらえなかったのかもしれない。 それにレンズが 1 本だけだったならば、関係無いわけだしなぁ…。 でもまぁ、そのあたりから、 F2 フォトミックの A か AS かと推測してみた。 要するに Ai レンズをつけているんじゃないかと思ったのだな。
さてさて、じゃあ「ちょっとした疑問」の話を。
「『ほら、これ 』 里香が指差したのは、フィルムを巻くレバーの脇についている、銀色の小さなツマミだった。蓋を閉めて、そのツマミを捻じってみると、さっきと同じようにちゃんと蓋が開いた」 ( 橋本紡著・半分の月がのぼる空 3 巻 110p )
おや? 違和感がある。
『フィルムを巻くレバー
』とは、巻き上げレバーのことか? それとも巻き戻しクランクのことか? いや、どっちにしろ記述のような場所にはツマミはないはずだ。 F も F2 も蓋を開けるツマミは底面にある。 底面のツマミを起こして捻じるのだ。
うーん……。 しばらく考えて、思い出した。 そういえば、Nikomat EL や Nikon EL2 がその記述に近いのではないか? 確か EL 系は巻き戻しクランクの脇にツマミがあって、それを操作してクランクを引き上げると蓋が開くのだ。 Nikon のカメラの中では、知らないと蓋がなかなか開けられない機種だ。 多分、裕一には無理だな。(w
でも、EL だと絞り優先の AE が使えるから、小説の記述とは反する。 うーん…。 さてさて、じゃぁ機種は何だ?
──まぁ、それは小説中で明かされているのだ。 4 巻 324p で夏目が F2 と言ってる。 夏目はカメラのことにも詳しそうだし、ホントに F2 なんだと思う。 F2 は機種名がボディに書いてあるワケじゃない。 知らなければ、F2 と断言できないだろうから。
じゃぁ、蓋を開けるツマミの件はというと……これは謎だ。 間違えたのか、それとも確信的に他の機種のソレを混ぜて書いたのか? ホントのところは橋本さんに聞くしかないと思うのだが、私は実は後者ではないかと睨んでいる。
ひとつのものをふたつにわける。
ふたつのものをひとつにあわせる。
考えるに『半分の月がのぼる空』にはそういった部分がいくつか見られる。 「病院の立地と、病院そのものの記述」 「小説の古市街道の描写と、現実の御幸街道の描写」 ……多分探せば他にもあるだろう。 そしてそれらは小説のテーマにも実はリンクしているのではないかと思うのだ。
それは…、「半分の月」 「裕一と里香」
深読みどころか、大ファールの可能性も大きいのだけれど、なんとなくそんな風に、私は感じているのだ。 ……うーん、やっぱりファールかな。
最後に 5 巻 13p の『ヒカリカメラ』について。
ヒカリカメラっていうと関東の私にとっては特定のお店を指す。 手元の日本カメラ 3 月号のページを繰ると……、あったあった、362p にそのお店の広告が。 ああっ松屋銀座で中古カメラ市やってたのかー! 行き損ねたー!! うるうる…。
まぁともかく、錦糸町と松戸に店舗を持ってるヒカリカメラが一番に浮かぶのだ。
で、たぶんお店としては、そのヒカリカメラを想定しているのではないかなぁと思っている。 橋本さんがよくいくカメラ屋なのかな?? うーん。
でも立地についてはもちろん別だね。 上のヒカリカメラは伊勢には無いし。 で、小説中にも立地についての描写は無いので、まぁ謎ってことで締めるしかないないかと。
追記 :
ちなみに、 3 巻裏表紙のイラストで描かれているカメラは、多分 D100 だ。 F80 という線も捨てがたいのだが、内臓スピードライトのカバー部分の曲線から D100 だと思われるのだ。
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